猫の健康チェックは「毎日のスキンシップ」から
猫の健康管理というと、動物病院での定期検診を思い浮かべるかもしれません。しかし実際は、日々のスキンシップの中で気づける小さな異変こそが、最初のサインになります。
猫は体調不良を隠す習性を持つ動物です。そのため、いつもと同じように見えても、体を触ったときの感触や反応に異常が出ていることがあります。
撫でる、抱っこする、ブラッシングする。そうした何気ない行動が、健康チェックに直結します。
今回は「触ってわかる猫の健康チェックポイント」と、異常が見られた際に考えられる病気について整理しました。
実際にうちの猫にセルフチェックを実施しながら進めていきますので、ぜひ一緒にやってみましょう!
まずは、顔まわりの観察から始めていきます。
1. 顔まわり(目・鼻・口・耳)
猫の顔は健康状態が特に表れやすい場所です。
日常的に一番目にする部分でもあるので、小さな変化に気づきやすいでしょう。以下の点を丁寧に確認してみてください。
チェックポイント
- 目ヤニが増えていないか、白目が赤くないか
- 鼻水やくしゃみが続いていないか
- 口臭、歯ぐきの赤み、よだれがないか
- 耳の中が汚れていないか、かゆがっていないか
異常がある場合に考えられる病気
- 目の異常: 結膜炎、角膜炎、猫風邪(ヘルペスウイルスやカリシウイルス)
- 鼻の異常: 鼻炎、上気道感染症、アレルギー
- 口の異常: 歯肉炎、口内炎、歯周病、腎臓病(口臭の原因になることも)
- 耳の異常: 外耳炎、耳ダニ感染、アレルギー性皮膚炎
特に口内トラブルは見落とされがちです。「口を触るのを嫌がる」「ごはんを食べるスピードが落ちた」場合は要注意です。
ももちゃんに健康チェック!
目や鼻、耳には問題なさそう。ちょっと耳のなかは汚れているみたい。ふき取りが必要そうですね

歯茎は…。赤みアリ。ももちゃんは二年半前に軽い歯肉炎と診断されています。
今はよくなって、赤みもありません。毎日の歯磨きの成果です!!!


我が家では、ももこが歯肉炎と診断されてから毎日歯磨きを実施しています。
過去に色々記事をあげていますので、もしよかったら見てみてくださいね。
たまちゃんも目・鼻・耳問題なし!
顔のチェックが終わったら、次は背中やお腹など、体の中心部分に注目してみましょう。
2. 背中・脇・お腹
猫の胴体部分は、筋肉や脂肪、臓器が集中しているため、触診で多くの情報を得ることができます。普段から撫でる習慣がある人なら、ちょっとした違和感にも気づきやすいと思います。
以下のポイントでチェックを行っていきましょう!
チェックポイント
- 左右で硬さが違わないか
- しこり、腫れ、熱を感じる部分はないか
- お腹が張っていないか、痛がる様子はないか
異常がある場合に考えられる病気
- しこりや腫れ: 脂肪腫、膿瘍、腫瘍(悪性リンパ腫・乳腺腫瘍など)
- お腹の張り: 便秘、腹水、内臓疾患(肝臓・腎臓など)
体を撫でるとき、指の腹で軽く押すように触ると異常が分かりやすくなります。
「数日で大きさが変わった」「位置が動くような感触がある」場合は、早めに受診が必要です。
たまちゃんに健康チェック!
次はたまちゃんに健康チェックをしてみようと思います。
しこりや腫れは…なさそう?筋肉なのか筋なのかしこりなのか難しいところですが、左右対称にあれば筋肉や筋と判断しました。
また、ももこの同じ部位を触って同様なら問題ないと考えられそうです。

胴体のチェックの次は、動きに関係する手足や爪の状態を確認してみましょう。
3. 手足・肉球・爪
手足や肉球、爪は猫の生活動作そのものに関わる重要な部位です。歩く、走る、飛ぶ、爪をとぐ。
そのすべてが健康状態と密接につながっています。
手足・肉球・爪は以下のポイントを確認しましょう!
チェックポイント
- 爪が過度に伸びていないか、折れていないか
- 足を触ると痛がらないか
- 肉球が乾燥していないか、ベタついていないか
異常がある場合に考えられる病気
- 腫れや痛み: 肉球の外傷、関節炎、捻挫、骨折
- ベタつきや湿り: 真菌感染(マラセチア皮膚炎など)、代謝性疾患(糖尿病)
- 爪の異常: 巻き爪、爪根部の炎症
猫は足先に痛みがあっても隠すことが多いため、ジャンプを避ける・歩き方がぎこちないときは注意が必要です。
次に、全身の印象を左右する「被毛と皮膚」の状態を見てみましょう。
ももちゃんに健康チェック
こちらも問題なし!健康な手足肉球爪です!


過去に、ももちゃんに爪切りをしようとしたら指の間が黒くなっているのを発見したということがあります。
こまめにふき取るようにしていたら良くなったのですが、もしこれがケガだったりしたら足の指の間なんて気づかないですよね…
こういうことがあるから隅々までチェックが必要なんですね。
爪切りの方法は過去に猫のお世話と費用のところで書いているので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
4. 被毛と皮膚
毛並みや皮膚の状態は、栄養状態やホルモンバランス、ストレスなど、体の内側の健康を反映します。ブラッシングの時間を活用して、全身をチェックしましょう。
チェックポイント
- 毛にツヤがあるか、ベタつきやフケがないか
- 毛が薄くなっている部分がないか
- 皮膚に赤み、かさぶた、発疹がないか
異常がある場合に考えられる病気
- 脱毛・赤み: ノミ・ダニ・真菌感染、アレルギー性皮膚炎
- フケ・ベタつき: 皮脂腺の異常、栄養バランスの乱れ、ホルモン疾患(甲状腺機能亢進症など)
- 強いにおい: 細菌感染や皮膚炎
ブラッシングのついでに皮膚の状態を見るのが習慣化のコツです。毛並みが悪くなるのは、内臓疾患やストレスの初期サインでもあります。
続いて、猫の生活の中でも汚れやすい「尻尾とお尻まわり」のチェックを行いましょう。
ももちゃんに健康チェック
ももちゃんは過去に顎にざそう(猫ニキビ)が出来たことがあるので、今回はももこをチェックします!

ももちゃんは過去に黒い粒粒が顎に沢山ついていて、猫ニキビ(ざそう)と診断されています。
でも今はすっかり綺麗になって、健康的です。
猫ニキビになった時は、毎日濡らしたガーゼなどでやさしくふき取っていました。
一回で無理に取ろうとせず、根気よく繰り返していたらいつの間にか顎もきれいになっていました。
5. 尻尾とお尻まわり
お尻まわりは排泄の健康と清潔さを確認できる場所です。見落としがちな部分ですが、病気の早期発見に直結することもあります。
チェックポイント
- お尻の周りに汚れや臭いがないか
- 尻尾の付け根を触って痛がらないか
- 便や尿のあとに拭かないと汚れるようになっていないか
異常がある場合に考えられる病気
- 便の付着・下痢: 消化不良、腸炎、寄生虫感染
- 排尿異常: 膀胱炎、尿路結石、腎臓病
- 尾の痛み: 打撲、尾椎骨折
お尻まわりの清潔さは健康状態をよく反映します。下痢や軟便が続く場合、便の中に血や白い虫が見られる場合も病院での検査が必要です。
たまちゃんの健康チェック!
便は片づけるたびにチェックしています。回数、柔らかさ・硬さや、色、異物の有無を主に実施しています。
尻尾の様子も問題なく、排尿の際に痛がる様子も特になさそうです。

ここまでで外見や体の触診を確認できました。最後に、行動や見た目の変化という「猫の心と体のサイン」にも目を向けてみましょう。
6. 行動や見た目で気づける変化
まさに一番大事なチェックポイント!普段の動きや見た目と異なっていないかは日々よく確認しましょう。
猫は言葉で「具合が悪い」とは言いません。その代わりに、行動やしぐさ、表情で不調を伝えています。見た目や習慣の変化も重要なチェックポイントです。
注意すべきサイン
- 食欲や水分摂取量が変わった
- トイレの回数が増減した
- 歩き方、ジャンプ力が落ちた
- 毛づくろいをあまりしなくなった
- 鳴き方が変わった、鳴く頻度が増えた
考えられる原因
- 食欲・水分の変化: 腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症
- トイレの変化: 膀胱炎、尿路結石、便秘
- 動きが鈍い: 関節炎、筋肉痛、神経疾患
- 鳴き方の変化: 高齢化、認知症、ストレス
体の異常だけでなく、普段の行動の「いつもと違う」を見逃さないことが、最大の予防になります。
セルフチェックを習慣にするコツ
これまで確認してきたセルフチェックを毎日行うことが理想的です。
- 猫がリラックスしているタイミングを選ぶ(食後や寝る前など)
- 嫌がる部位は短時間で済ませる
- 気づいたことはスマホやノートに記録しておく
特に体重や毛ツヤ、食欲の変化は記録をつけておくと病院でも説明しやすく、早期診断に役立ちます。
こんなときは早めに病院へ
- 体にしこりや腫れがある
- 体重が急に減った
- 強い口臭、よだれ、くしゃみが続く
- 元気がない、動きたがらない
- 嘔吐や下痢が続く
異常を感じたときは自己判断せず、動物病院で相談することが最善です。飼い主が「いつもと違う」と思う感覚は、多くの場合、正解です。
まとめ:触れることは、愛情であり予防医療でもある
猫の健康チェックは特別なことではなく、日々の「撫でる」「抱っこする」その時間の中にあります。触れることで安心させ、同時に健康を守る。
そんな習慣が、猫の寿命をのばす一番身近な方法です。
猫は痛いとか体調悪いとか言えないので、飼い主である私たちが気づくことが重要です。
病気の早期発見につなげるためにも、定期的なセルフチェックを実施しましょう。
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